アメリカがイランをすぐ報復攻撃できない理由とは?日本への影響は?

   

【カイロ時事】サウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相は14日、東部にある国営石油会社サウジアラムコの石油関連施設への無人機攻撃を受け、攻撃された2カ所での石油生産を一時的に停止したことを明らかにした。サウジと敵対するイランが後ろ盾のイエメン反政府武装組織フーシ派が犯行を主張。フーシ派はサウジ重要拠点への攻撃拡大を警告しており、今後も世界の原油供給に悪影響が広がる恐れがある。

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アメリカがイランをすぐ報復攻撃できない理由とは?

空爆したのは自分たちだと、フーシ派は主張。アメリカはイランだと主張。イランは一切の関与を否定。予想通りの舌戦が繰り広げられている。

 

サウジアラビアの重要石油施設が攻撃されるという実にドラスティックな出来事だった。
世界経済に極めて重要な石油施設がいかに脆弱なものか、今回の空爆で一気に露呈されてしまった。

 

14日、サウジ石油施設攻撃の犯行を主張するイエメンの反政府武装組織フーシ派(AFP時事)

 

 

トランプ米政権はサウジアラビアの石油施設への攻撃に関し、米情報機関が巡航ミサイルや無人機の出撃点はイラン南西部であるとの見方を固めている。

 

これを受けイランに対してどのような報復措置を取るか近く判断を下す方針を示し、18日、サウジアラビアへの石油関連施設への攻撃に関し、イランが関与しているとみて、トランプ大統領は新たな制裁措置を「48時間以内に発表する」と表明。

 

米政権はサウジの石油施設への攻撃を「前代未聞の無法行為」と位置づけており、イランが実行したと断定され次第、何らかの報復に踏み切るのは確実視されていた。

 

トランプ大統領は「イランへの制裁拡大を財務長官に命じた」とツイッターに投稿。しかし、制裁の具体的な内容や実施時期など詳細はまだ不明。

 

アメリカの本音はすぐにでも、イランを空爆でもしたいのだろうが、そうは簡単にできない苦い経験がアメリカにはあるのだ。

アメリカのイランへの言いがかり

アメリカは今年になって、ほとんど言いがかりに近いような「イランの脅威」を強調して圧力を強めてきた。

それは「フセイン政権が大量破壊兵器を持っている」という虚偽の情報に基づいて進められたイラク侵攻(2003)を想起させるものだ。

 

イラク侵攻はアメリカへの国際的信頼を失墜させ、「イスラーム国」(IS)台頭のきっかけになったが、実はイランを攻撃することはそれ以上のリスクを秘めている。

 

アメリカは失敗したイラク侵攻の二の舞になることを恐れている。それが、戦争という選択肢をチラつかせながら容易に実行できない理由だ。

 

戦争になったが最後、トランプ大統領が再選されることはまずあり得まい。
言いがかりをつけても開戦など不可能なのだ。
イランの関与を主張しながら強い非難ができないという完全なジレンマに陥っている。

 

5月上旬からアメリカは「イランの脅威」を理由にペルシャ湾に空母エイブラハム・リンカーンやB-52戦略爆撃機を相次いで派遣。

 

一方のイランは、ペルシャ湾上で短距離弾道ミサイルを移動させ、対抗する姿勢を示している。
アメリカの目算は外れたのだ。イランを甘く見て、もっと簡単に音を上げると思い込んでいたのでは?

 

発端は2015年に結ばれたイラン核合意をトランプ政権が一方的に破棄したことにある。
国際原子力機関(IAEA)もイランが合意に従っていると認めるなか、アメリカが具体的な根拠なしに合意を破棄した以上、イランが自衛行為に走るのは何ら不思議な事ではない。

 

イランが先に事をおこせば、アメリカの思う壺であるから、威嚇以上の行動に出るとは考えにくい。
アメリカはそれを見越して挑発しているとしか思えない。
そんな状態の所へサウジ石油基地への攻撃はアメリカにまたとない口実を与えたようだが・・・決め手に欠ける。

 

そう簡単に事が収束するとは思えない。
イラン核合意からの離脱は2016年大統領選の公約で、トランプ政権にはもともと反イラン強硬派が多いという。

 

そのうえ、北朝鮮との協議が難航し、ベネズエラへの介入もほぼ不発で終わった。
来年の大統領選に向けて、トランプ大統領はただただ外交的な成果が欲しい。要は目立ちたいのだ。

 

その思いが「イランの脅威」の演出を生んだとみてよいのではないか。
空母やB-52を投入しても、ただの脅しで終わってしまったようだ。

 

それと、トランプ氏は前大統領のオバマ氏が掲げた政策が、ことごとく気に入らないようだ。生理的な嫌悪感でも抱いているのであろうか?

 

何年もかけて築き上げて来たTPP条約をあっさりと破棄した。一体、あの交渉過程は何だったのか。オバマ氏の提案した健康保険制度もお気に召さないらしい。すべてひっくり返す積りなのだろう。得体が知れない。忠犬ハチ公である安部晋三首相が滑稽ですらある。

 

イランは疑惑を否定

当然だろう。自ら認め、アメリカに付け入るスキを与える訳がない。しかし、アメリカによる経済制裁はイラン経済をどん底に貶めている。
何しろ自国の石油が輸出できないのだから苦しいのは明白だ。

 

何が起きても不思議はない国内情勢だ。
裏から関与していることはかなり高い確率であり得るのではないか?

 

だが、関与の真の狙いが分からない。自分で自分の首を絞める訳がない。
憶測が飛び交う要因が、イランの軍事組織「革命防衛隊」などの対米強硬派の存在だという。

 

米国とイランは攻撃前まで、9月下旬の国連総会に合わせ、協議を行う可能性が出ていたらしい。
こうした融和ムードを歓迎しない勢力が攻撃を主導したとのシナリオさえささやかれている。

 

又、サウジを軍事的に牽制したいフーシが、イランの意向を無視して攻撃したとの見方もある。
サウジと米国は、イランが巡航ミサイルや無人機の投入したとの見方を強めているが、証拠は明らかでない。

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日本への影響は?

一時は20%以上値上がりした石油価格だったが、日本の原油調達量の約4割を占めるサウジ産石油の輸入見通しが立ったことで、国内供給に与える影響は限定的になりそうだ。

 

ただ、中東情勢は当面不安定な状況が続くとみられ、日本が原油を中東に依存する危うさが改めて浮き彫りとなった。

 

世界の石油生産量のうち、サウジやイランなど中東諸国は約3割を占め、世界のエネルギー供給は中東情勢に大きく左右される。

 

資源に乏しい日本は原油輸入の9割以上を他国に依存しており、影響を受けやすい。
海外からの輸入が途絶えた場合の備蓄量は236日分という。

 

1979年の第2次石油危機や91年の湾岸戦争、2011年の東日本大震災など計5回、備蓄が放出されたという。

 

資源エネルギー庁幹部は「充分な量の備蓄だ」と自画自賛しているが、不安は消えない。
中期的には調達ルートの多様化が求められるが、容易な道ではない。

 

アメリカやロシアから調達量を増やす決断をといわれても・・・すぐにはどうなのだろうか?

 

10月からは消費税が増税され、消費の落ち込みが強く懸念されている上、冬に向かって灯油代まで高騰すれば家計をもろに直撃するのは避けられなかった。ホットしている家庭が多いのでは?我が家もその内の一軒だ。

 

また、米中貿易戦争、英国のEU離脱、世界経済の落ち込みは明白な兆候を示している。
決して、楽観視はできない。

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