6月に右肘の内側側副靱帯損傷で故障者リスト(DL)入りした時は、どうなるかと心配されたエンゼルスの大谷選手だったが、復帰後がすごかった。現地時間で8月3日に行われたインディアンス戦に「3番・DH」で3試合ぶりに先発出場したかと思ったら、5打数4安打3打点3得点1盗塁の大暴れ、7-4でチームの勝利に大きく貢献した。今日は、この大谷選手に再びスポットを当てて見る。
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二刀流を英訳すると「two-way player」という言葉になるらしい。
大谷翔平選手は大リーグ移籍後も、果敢にこれに挑んだ!
野球の原点は、文字通り「投げて、打つ! そして走る!」これに尽きる。
彼は正に、三拍子そろっている。盗塁も実に見事なものだ。
ところで、2桁本塁打を放ち、投手として複数勝利した選手は大リーグでは以下の様に存在している。
1886 ハーディ・リチャードソン
1887 ジミー・ライアン
1888 ジミー・ライアン
1918 ベーブ・ルース
1919 ベーブ・ルース
1921 ベーブ・ルース
ベーブ・ルースの場合は、レッドソックスのお偉いさん達が彼をどう扱っていいか分からなかったので仕方なく、当初二刀流をさせていただけの話だ。
それをこなしたベーブ・ルースは確かに凄いが、大谷翔平選手の場合は彼とは
決定的に違っている。
大谷選手は当初から「two-way player」を目指しているのだ。
出発点がまったく違う!
ベーブ・ルースが両方やるのはきついからと、途中から打者に転向したのとは訳が違うのだ。
大谷翔平が、メジャー初打席前に練習してたキャンプ地でのチームメートの反応自体が、その時すでにかなりのものだった。
彼がブルペンでなげれば、その剛速球に各プレーヤーや監督から称賛の声が上がっていたほどだ。
各チームメートが、彼の打者としての才能と投手としての並々ならぬ凄さと才能の持ち主である事をすでに気づいていた。
オープン戦こそ振るわなかったものの、シーズンに入ってからの活躍は評判通りのものとなった。
大谷の二刀流が米球界に与えたインパクトは非常に大きかった。
何しろメジャーでの二刀流はベーブ・ルース以来である。
投手として4勝、11号本塁打もルース以来、99年ぶりだ。
批判などほとんど見られなかった。
大谷選手の活躍は西海岸にとどまらず、すでに全米で話題になっている。
本拠地のエンゼルスタジアムで打席に入るときの歓声は、いまや同僚でMVPを2度獲得したスーパースター・トラウト(26)に匹敵するほどらしい。
しかし、何より勝つことを求められているGMや監督が、これまで通りの大谷の起用の仕方をこれでいいとする保証はどこにもない。
よき理解者のソーシア監督が退任すれば、その可能性はもっと高くなる。
投手と打者の両立が如何に困難であるかは大谷選手自身の肘の故障が、それを物語ってしまっている。
大谷選手の二刀流は今季限りで終わりになる可能性の方が高い様だ。
守備に就けないから投げられなくなった場合の起用法はDHか代打に限定される。ベンチ入りできるメンバーが25人しかいないメジャーでは、これほど使い勝手の悪い選手はいないのだ。
先発不足のエンゼルスは来季、大谷をエース格として起用するプランらしいから、投手に専念させられる可能性が否定できない。
これだけ大リーグファンを沸かせ、韓国や遠くオランダ辺りまで海外の反応も素晴らしいものであったのに残念だ。
勝利至上主義を掲げられた場合には、大谷選手の二刀流は影を潜めねばならなくなるのだ。本当に残念だ。
チームの事情が大谷選手の二刀流の存在を許さないのだ。
肘の故障の一言に尽きる。
これさえなければ、2桁勝利は間違いなかったはずだ。
大谷選手は、「和製ベーブ・ルース」と言われ、よく彼と比較される。
しかし、私は大谷選手の方がベーブ・ルースより遥かに優れていると思う。
体格や身体的能力の高さ、そしてメンタルな面でも抜きんでている。
他の選手の追随を許さない。稀有な才能の持ち主だ!
彼が肘の怪我さえなければ、どこまで伸びるか分からない選手だ。
投げて100マイル! 怪我が治れば、それ以上のスピードが期待できる。
彼がベーブ・ルースを上回ってゆくのは時間の問題だったと思う。
これは間違いあるまい。歳から言っても「伸びしろ」は充分ある。
今年は投手として4勝1敗!今季二桁勝利投手になるのには無理がある。
肘の故障は厄介だ。回復まで時間がかかるし、再発の危険性がある。
しかし、彼自身は「限界を感じたことはない」と公言している程だ。
高みへの成長思考は留まることがない。
唯一の心配点は、彼の後ろ盾だったマイク・ソーシア監督(59)が今年限りで退任を噂されていることだ。
打者としてもすでに抜きんでた才能があると、証明されているのに後ろ盾を失い、来季はチームのエース格として起用されるかもしれないのだ。
これでは、「two-way player」として自由にやれるのには無理がある。
よき理解者の欠如とチーム事情が大谷選手の二刀流を許さない状況になってきているのだ。
8月4日現在、エンゼルスは55勝57敗で、西地区首位のアストロズから16ゲーム離され4位になってしまっている。プレーオフの可能性はすでに消滅しているし、ソーシア監督の退任はかなり可能性が高い。
ソーシア監督はエンゼルスを率いて今年で19年目になる。
2002年のワールドシリーズを制するなどア・リーグの最優秀監督賞を2度受賞している。
しかし、09年からの10年契約が今年いっぱいで切れるため、オーナーによって新監督が選任される可能性が高いのだ。大谷選手の二刀流が今季限りで幻に終わってしまうかもしれない。
残念だ。本当に残念だ!