ベルリン・マラソンは16日、当地で行われ、男子はリオデジャネイロ五輪覇者の33歳、エリウド・キプチョゲ(ケニア)が2時間1分39秒の世界新記録で2連覇した。従来の記録はデニス・キメット(ケニア)が2014年大会でマークしていた2時間2分57秒だったが、それを一気に1分18秒も短縮した。
Contents
2時間1分39秒の驚異の世界新記録で優勝達成!
驚くべきタイムでゴールテープを切ったキプチョゲ選手は、観衆の拍手・喝采の中で何度もガッツポーズを繰り返した。
序盤から全く異次元のペースで飛ばし、従来の世界記録を1分18秒も短縮し優勝を飾った。
マラソンでは一度しか優勝を逃したことがないという五輪金メダリストは、念願だった世界最速の称号を手中にし「信じられないぐらいうれしい」と喜びを爆発させていた。
「このレースに備えて充分練習してきた」と胸を張ったキプチョゲ選手!
3人のペーメーカーと共に、4年前に同じケニアのキメットが出した世界記録を上回るペースで序盤から飛び出した。
25キロ辺りでペースメーカーはいなくなったが、1人になってもスピードは全く落ちることなく距離を重ねるごとに世界新への期待は確信へと変わっていった。終盤はさらにペースを上げ、余裕の表情で42.195kmを駆け抜けた。
キプチョゲ選手は、2012年よりマラソン競技に転向している。
初マラソンとなる2013年ハンブルグマラソンで大会新記録となる2時間5分30秒で優勝した。
翌年9月のベルリンで2位となった後は負けなし。
これ以降、11戦10勝、9連勝(2018年現在)という圧倒的な結果を残している。2015年のロンドンマラソンでは序盤でインソール(靴の中敷き)がシューズの外に飛び出すというトラブルに見舞われながらも優勝し、話題になっている。
レース前では、歴代3位の2時間3分5秒が自己ベストだった。
彼にとって世界新記録達成は乗り越えなければならない壁だった。
「常に目標だった。とても自身になる」と重圧から解放され喜びを語った。
世界で初めて2時間1分台に突入し、更なる記録更新も期待される。
「未来がどうなるかなんて誰にも分からない」と、まだまだ限界を感じてはいない様だ。
トラック種目では男子5000mで、2003年世界選手権を制し、04年アテネ五輪3位で銅メダル、08年北京五輪2位と銀メダルを獲得している。
2012年からマラソンに転向!
その後のマラソンの成績は上記に記載した様に、今は向かうところ敵なしといった感じ・・・
トラック競技で培われたスピードが、そのままマラソンに生かされている様だ。
日本選手の出る幕は全然ない。今回も日本勢は、中村匠吾(富士通)が自己ベストの2時間8分16秒で4位と健闘しているが、これでは到底及ばない。
佐藤悠基(日清食品グループ)が6位だった・・・
キプチョゲ選手は、すでにマラソン世界最速記録(非公式)を達成していた。
2017年5月6日、イタリアのモンツァ・サーキットにて行われたスポーツ用品ナイキ企画の「ブレーキング2」に
ゼルセナイ・タデッセ、レリサ・デシサと共に参加している。
キプチョゲは、男子マラソン最高記録(2時間02分57秒)を上回る2時間00分25秒を記録し、史上最速でマラソンを走った選手となった。
しかしこの企画は特別な環境下で実施されたものであったため、記録は国際陸上競技連盟が認めたものではなく、非公式記録とされている。この企画はナショナルジオグラフィックチャンネルのドキュメンタリー番組として放送されている。
自動車F1シリーズのイタリア・グランプリ(GP)を開催するサーキットで出されたこの記録はスポーツ用品大手のナイキが2時間突破を狙って企画されたレースだった。ペ-スメーカーの途中参加や並走した自転車からの飲み物を受け取るなどの特殊な補助の下で行われたため、世界記録には認定されなかった訳だ。しかし、世界新を出す地力は既に持っていたという事である。
キプチョゲ選手が愛用するナイキの「厚底シューズ」が、どうも「マラソンの高速化」に一役買って出ている様である。
従来は軽さを求めた底の薄い靴がマラソンには良いとされてきた。
しかし、この常識を覆しナイキの厚底シューズを履いた内外の選手が好成績を次々と達成している。
今は、この常識を覆した「厚底シューズ」がマラソン界を席巻していると言ってもいいほどらしい。
日本記録をだした設楽選手も「最初に見たときは、これで走るなんて考えられなかった」と語っていたが、現に日本記録を叩き出している。
軽くクッション性のある素材で推進力があり、疲労も軽減されるという。
こうした道具の進化も「マラソンの高速化を下支え」しているのは間違いない様だ。
キプチョゲ選手の驚異的な世界新記録を見て、日本陸上競技連盟の河野匡(ただす)・直距離・マラソンディレクターは「凄い!人類最高のランナー」とただ一言うなっただけという。
日本記録は設楽悠太(Honda)が、今年2月の東京で出した2時間6分11秒!
2020年の東京オリンピックで28年振りのメダル獲得を目指す日本男子にとって、世界との差を嫌というほど思い知らされる結果となった。
その差は5分近くある!絶望的である。
河野ディレクターは「(世界新)は想定の中。日本は東京五輪代表に選ばれた選手が120%の力を発揮出来るようにしたい」と語っているが・・・
2年後に向けて、日本の酷暑や地の利を味方に付けたとしても、アフリカ勢との地力の差は歴然としており、勝負の結果は当然厳しいものとなるだろう。
近い内にマラソンのタイムは2分の壁を突破するだろう!
日本に奇跡は起きるか!?