保釈制度の問題点!保釈中の再犯を減少させる方法には何があるのか?

   

昨日の読売新聞の朝刊の三面記事には驚かされた。三面トップに保釈中に盗んだ金で示談を成立させ、まんまと高裁判決を受けるにあたり刑期を短縮させたという記事が掲載されていた。こんなことが起こりうるのか、と呆れもした。起訴後に被告が保釈されるケースが近年増加傾向にあるらしい。背景には裁判所が公判に向けた被告と弁護人の打ち合わせの機会などを重視し、保釈を柔軟に認めるようになったからだという。しかし、同時に保釈の増加に伴い、保釈中の再犯も増加傾向にあるという。どうしたら保釈中の再犯を減少させられるか、保釈制度はどうあるべきなのか、保釈中の再犯がこの10年間で2.5倍に達したことを踏まえ、保釈制度の問題点について考えてみた。

Sponsored Link
 

保釈とは?その趣旨

保釈とは、起訴後に勾留中の被告側の請求を受け、裁判所が保釈保証金を納付させた上で被告の勾留をいったん解き、釈放させる制度。

実刑が確定すれば、また刑務所に収容される。「海外渡航禁止」などの保釈条件を破ったり、裁判に出頭しなかったりした場合、保釈が取り消されたり、保証金が没収され再度拘束される。

 

なぜ、保釈が認められるかと言えば、刑事事件には『無罪推定の原則』というものがあるため。
刑罰は有罪判決があって初めて行われるものであって、それ以前に刑罰を課すことはできない。

 

逮捕や勾留は、刑罰ではなく、『罪証隠滅のおそれ』や『逃亡のおそれ』などが認められる場合に、刑事手続のために行われる被疑者及び被告人に対する制約である。

 

刑事手続のために必要とはいえ、逮捕や勾留されてしまえば行動の自由を奪わるので、帰宅することも仕事に行くこともできなくなる。被疑者や被告人とって、この制約の影響は非常に大きい。

 

逮捕や勾留されたために職場を辞めざるを得なくなったという事例は珍しくない。
そのために逮捕や勾留の要件は認められているけれども、被告人を一旦釈放するための制度として、「保釈」がある。

保釈制度の問題点~保釈中の再犯を減少させる方法には何があるのか?

現行の刑事訴訟法では、保釈は①「証拠隠滅の恐れ」②「逃亡の恐れ」の有無を基に判断され、③「再犯の恐れ」は要件となっていない。問題はこの最後の一点に尽きるようだが、刑事訴訟法を改正し、③の要件を付加すれば問題が万事解決するというほど事は単純ではなさそうだ。

 

容疑や起訴内容を否認すれば勾留が長期化することから「人質司法」と揶揄(やゆ)されてきた日本の刑事司法手続きが大きな転換期を迎えているのだ。裁判所が保釈請求を許可した割合(保釈率)は過去10年で倍増。(下記のグラフ)近年は否認事件でも保釈が認められるようになっており、裁判所の姿勢の変化は明らかである。

背景にあるのが裁判員制度。国民が参加する分かりやすい刑事裁判に向け、被告が弁護士と十分に相談できる環境がより重要視されるようになり、裁判官の間で勾留の必要性を慎重に判断する考えが広がった。

 

加えて、裁判所には国内外から強まる「人質司法」批判を回避したいとの思惑があるとみられる。
しかし、保釈を広く認める流れの中では、当然の如く逃走や再犯のリスクも高まる。

 

今朝の読売新聞の朝刊の三面記事トップはまさにそのケースだった。
裁判所の適切な保釈判断が求められるとともに、逃走や再犯を防ぐ法整備を急ぐ必要がある。

 

問題は保釈した後なのだ。今までは保釈をしたら保釈しっぱなし。
保釈後は裁判所からの出頭命令には必ず応じることが条件とされ、保釈中にそれに反して逃亡したり、証拠隠滅を図ったりした場合でなければ、保釈は取り消されることはない。また、違反することなく裁判手続きが終了すれば、裁判の結果にかかわらず、保証金は返還される。

 

保釈を早めるためにも、保釈後の被告の行動を監視する制度を整備する必要があるはず。
例えば性犯罪の被告」にはGPS(衛星利用測位システム)の発信機を装着させ、行動を監視するなど。そして逃走中の再犯には法定刑の2倍の刑を科すなど厳罰化する方向に持ってゆくべき。

 

GPSと厳罰化は両輪で考えるべきで、
再犯の恐れがあるから保釈しないということよりはるかに良いと思われるが、
裁判官も『保釈すること』の責任の重大さをもっとよく考えてほしい。

 

裁判官が保釈請求された1件1件全てをしっかり調べるとなると、とても人手が足りないという。
先ずは、この辺りから手を付けていかないと根本的な解決策とはならないのでは?
裁判官にそれほど『人を見る目』が期待できるのか、少々心もとない気がしている。

保釈中再犯10年で2.5倍という現実

保釈率と保釈中再犯の件数の増加は下記のグラフを見れば、一目瞭然。

保釈中の被告が別の事件を起こして起訴された件数は、01年の102件から18年は258件と実に2.5倍を達成。薬物事件や今回の様に窃盗事件が大半を占めるが、凶悪犯罪に走ったケースもある。

 

今年1月には、覚せい剤取締法違反で起訴後に保釈された住吉会系暴力団員が、東京歌舞伎町で元暴力団組員の男性を射殺する事件が起きた。これなどを見ると、やはり刑事訴訟法を改正し、保釈の要件として第3に「再犯の恐れ」がないことを掲げるべきかと思う。

 

検察幹部が危惧しているように、安易に保釈が認められれば再犯のリスクは当然高まる。
あるベテランの裁判官は「再犯は残念だが、保釈された誰もが再犯する訳ではない。被告に凶悪性が認められない事などを考量すれば保釈した判断は納得できる」と話しているが・・・

 

東京地裁が今年3月、殺人罪で懲役11年の実刑判決を受けた被告の保釈を認めたケースなどにわかには信じがたい。決定は東京高裁で覆ったものの、殺人罪で実刑判決を受けた被告の保釈なんてとんでもない事例だ。

 

1審判決前なら公判前整理手続きで被告と弁護人が十分な協議をしなければならず、保釈の必要性も高いが、実刑判決により無罪推定の力も弱くなる。一方で逃走や再犯の恐れは増大している。1審実刑判決後の保釈も広く認めていくということなどは絶対にあってはいけないことだ。

 

この一点を見ても裁判官の「裁量権の行使」に疑問を感じる。
保釈によって新たな被害者が増えることなど、まことに憂慮すべき事態だと思う。

Sponsored Link
 

まとめ

日産自動車前会長、カルロス・ゴーン被告が早期に保釈された時には「外圧に屈した」との批判もなされたが、裁判所が外圧を契機に保釈の基準をグローバルスタンダードに近づけようという意図があったのではないかという観点から高い評価が出来る話だったと思う。

 

しかし、何も考えずに闇雲に世界の基準に合わせれば良いという訳ではない。
逃走や再犯の恐れが高い容疑者にまで安易に保釈を認める愚かな裁判官など論外だ。
グローバルスタンダード以前の問題だが、杞憂ではないようだ。
人質司法という批判ー「何が何でも自白を取る自白が無ければ公判を維持できない」という検察の態度は中世の暗黒裁判そのものだし、人権もへったくれもない。自白がなければ公判を維持できないというのなら起訴など鼻っからすべきではないのだ。

 

人質司法を失くすために保釈の制度はもっと広く認めて然るべきだと思う。
しかし、そこには当然明確な基準があるべきはず。

 

広く認めていけば、当然逃亡や再犯のリスクが高まるのだから。
そのために十分な法整備が日本でなされているか、甚だ疑わしい。

 

有識者を集め、保釈を認める基準や保釈後の法整備をどうするか、
もっと真剣に議論をしなければいけないのでは?

 

検察幹部の一人が、今回の事件について「保釈によって新たな被害者が増えただけではなく、被告の刑期まで短くなった。保釈を許可した裁判所の判断が適切だったのか疑問だ」と語っているが、同意見だ。窃盗犯は再犯率が異常に高いはず。薬物中毒者も同様だ。

 

取り返しの効かない事件が起きる前にもっと準備しておくべきでは?・・・
裁判所の裁量が危ういバランスの上に立っていると私は危惧する。

 

追記

再犯ではないが窃盗罪などで実刑が確定し、横浜地検が収容しようとして神奈川県愛川町の自宅から逃走した小林誠容被告(43)の事件などが、「裁判所の判断が危うい」その最たるものと思われる。

今年の6月、横浜地検は公務執行妨害容疑で逮捕状を取り、県警が全国に指名手配し解決までには5日間にわたる逃走劇だけで済んだが、その間、イベントは中止になるし、学校は休みになるし、近隣住民は多大な迷惑をかけられた。

 

小林容疑者は過去にも複数の事件で実刑判決を受けており、この事件は逃走を許した検察当局の失態とともに、裁判所の保釈判断が適切だったのかも問われている。裁判所が容疑者や被告の身柄拘束を解く判断基準を緩和する動きを強めていることに対し、捜査当局から逃走や再犯のリスクが再三、指摘されてきたという。

 

逃走や再犯のリスクが高い容疑者に保釈を認める裁判所!その良識を疑う。
速やかに刑事訴訟法を改正し、保釈の要件を増やすべきだし、保釈後の法整備を明確にすべきだ。
保釈中に逃走や再犯を行う被告には厳罰をもって臨む事が出来る様に法改正すべきと思う。

 - ニュース