東大入学式2019・上野千鶴子の祝辞・全文を公開!会場が大荒れ?

   

 平成31年度東京大学・学部入学式が4月12日(金)日本武道館において挙行。約3,100名の新入生と、その家族など約5,600名、合わせて約8,700名が出席。その中で来賓の上野千鶴子氏の祝辞が、特に大きな反響を呼んだらしい。社会学者で2011年3月まで東大で教鞭を取っていた人物だ。式終了後、すぐに東大のホームページに全文がアップ。しかし、会場が荒れる訳がない。神聖な入学式!それも優等生の代表・東大の入学式だもの・・・ちょっと、タイトルがセンセーショナルに過ぎたか?ネットで賛否両論が展開されただけだもの・・・

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東大入学式2019

 平成31年度東京大学学部入学式が4月12日(金)午前に、日本武道館において開催。

 

約3,100名の新入生と、その家族など約5,600名、合わせて約8,700名が出席。 午前9時45分、運動会応援部による演舞があり、音楽部管弦楽団によるワーグナー作曲の「ニュルンベルクのマイスタージンガー前奏曲」の演奏後、五神真総長はじめ理事・副学長、理事、学部長、研究科長、研究所長並びに来賓の上野千鶴子(うえの ちづこ)認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク 理事長、大塚陸毅(おおつか むつたけ)東京大学校友会 会長が登壇し、10時41分に開式。

 

式では、はじめに音楽部管弦楽団、音楽部合唱団コールアカデミー、音楽部女声合唱団コーロ・レティツィアによる、東京大学の歌「大空と」の奏楽、合唱の後、総長が式辞を述べ、続いて、太田邦史(おおた くにひろ)教養学部長が式辞を述べた。

 

式辞の後、来賓の 上野千鶴子 認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク 理事長が祝辞を述べた。後、入学生総代 永谷優磨(ながたに ゆうま)(理科三類)による宣誓が行われ、最後に運動会応援部のリードにより新入生をまじえ全員で東京大学の歌「ただ一つ」の奏楽、合唱をもって、11時55分に式終了。

平成31年度東京大学学部入学式 祝辞 全文公開

上野 千鶴子(うえの ちづこ、1948年(昭和23年)7月12日 -70歳 )は、日本のフェミニスト、社会学者。専攻は、家族社会学、ジェンダー論、女性学。東京大学名誉教授、立命館大学大学院先端総合学術研究科特別招聘教授。博士(社会学)(東京大学、2013年)(学位論文「ケアの社会学…当事者主権の福祉社会へ」)。NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長。彼女を来賓に招いたこの人を来賓に招いた五神真総長や理事の方々に敬意を表したい。

ご入学おめでとうございます。あなたたちは激烈な競争を勝ち抜いてこの場に来ることができました。

 

女子学生の置かれている現実

その選抜試験が公正なものであることをあなたたちは疑っておられないと思います。もし不公正であれば、怒りが湧くでしょう。が、しかし、昨年、東京医科大不正入試問題が発覚し、女子学生と浪人生に差別があることが判明しました。文科省が全国81の医科大・医学部の全数調査を実施したところ、女子学生の入りにくさ、すなわち女子学生の合格率に対する男子学生の合格率は平均1.2倍と出ました。問題の東医大は1.29、最高が順天堂大の1.67、上位には昭和大、日本大、慶応大などの私学が並んでいます。1.0よりも低い、すなわち女子学生の方が入りやすい大学には鳥取大、島根大、徳島大、弘前大などの地方国立大医学部が並んでいます。ちなみに東京大学理科3類は1.03、平均よりは低いですが1.0よりは高い、この数字をどう読み解けばよいでしょうか。統計は大事です、それをもとに考察が成り立つのですから。

女子学生が男子学生より合格しにくいのは、男子受験生の成績の方がよいからでしょうか?全国医学部調査結果を公表した文科省の担当者が、こんなコメントを述べています。「男子優位の学部、学科は他に見当たらず、理工系も文系も女子が優位な場合が多い」。ということは、医学部を除く他学部では、女子の入りにくさは1以下であること、医学部が1を越えていることには、なんらかの説明が要ることを意味します。

事実、各種のデータが、女子受験生の偏差値の方が男子受験生より高いことを証明しています。まず第1に女子学生は浪人を避けるために余裕を持って受験先を決める傾向があります。第2に東京大学入学者の女性比率は長期にわたって「2割の壁」を越えません。今年度に至っては18.1%と前年度を下回りました。統計的には偏差値の正規分布に男女差はありませんから、男子学生以上に優秀な女子学生が東大を受験していることになります。第3に、4年制大学進学率そのものに性別によるギャップがあります。2016年度の学校基本調査によれば4年制大学進学率は男子55.6%、女子48.2%と7ポイントもの差があります。この差は成績の差ではありません。「息子は大学まで、娘は短大まで」でよいと考える親の性差別の結果です。

最近ノーベル平和賞受賞者のマララ・ユスフザイさんが日本を訪れて「女子教育」の必要性を訴えました。それはパキスタンにとっては重要だが、日本には無関係でしょうか。「どうせ女の子だし」「しょせん女の子だから」と水をかけ、足を引っ張ることを、aspirationのcooling downすなわち意欲の冷却効果と言います。マララさんのお父さんは、「どうやって娘を育てたか」と訊かれて、「娘の翼を折らないようにしてきた」と答えました。そのとおり、多くの娘たちは、子どもなら誰でも持っている翼を折られてきたのです。

そうやって東大に頑張って進学した男女学生を待っているのは、どんな環境でしょうか。他大学との合コン(合同コンパ)で東大の男子学生はもてます。東大の女子学生からはこんな話を聞きました。「キミ、どこの大学?」と訊かれたら、「東京、の、大学...」と答えるのだそうです。なぜかといえば「東大」といえば、退かれるから、だそうです。なぜ男子学生は東大生であることに誇りが持てるのに、女子学生は答えに躊躇するのでしょうか。なぜなら、男性の価値と成績のよさは一致しているのに、女性の価値と成績のよさとのあいだには、ねじれがあるからです。女子は子どものときから「かわいい」ことを期待されます。ところで「かわいい」とはどんな価値でしょうか?愛される、選ばれる、守ってもらえる価値には、相手を絶対におびやかさないという保証が含まれています。だから女子は、自分が成績がいいことや、東大生であることを隠そうとするのです。

東大工学部と大学院の男子学生5人が、私大の女子学生を集団で性的に凌辱した事件がありました。加害者の男子学生は3人が退学、2人が停学処分を受けました。この事件をモデルにして姫野カオルコさんという作家が『彼女は頭が悪いから』という小説を書き、昨年それをテーマに学内でシンポジウムが開かれました。「彼女は頭が悪いから」というのは、取り調べの過程で、実際に加害者の男子学生が口にしたコトバだそうです。この作品を読めば、東大の男子学生が社会からどんな目で見られているかがわかります。

東大には今でも東大女子が実質的に入れず、他大学の女子のみに参加を認める男子サークルがあると聞きました。わたしが学生だった半世紀前にも同じようなサークルがありました。それが半世紀後の今日も続いているとは驚きです。この3月に東京大学男女共同参画担当理事・副学長名で、女子学生排除は「東大憲章」が唱える平等の理念に反すると警告を発しました。

これまであなたたちが過ごしてきた学校は、タテマエ平等の社会でした。偏差値競争に男女別はありません。ですが、大学に入る時点ですでに隠れた性差別が始まっています。社会に出れば、もっとあからさまな性差別が横行しています。東京大学もまた、残念ながらその例のひとつです。

学部においておよそ20%の女子学生比率は、大学院になると修士課程で25%、博士課程で30.7%になります。その先、研究職となると、助教の女性比率は18.2、准教授で11.6、教授職で7.8%と低下します。これは国会議員の女性比率より低い数字です。女性学部長・研究科長は15人のうち1人、歴代総長には女性はいません。

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女性学のパイオニアとして

こういうことを研究する学問が40年前に生まれました。女性学という学問です。のちにジェンダー研究と呼ばれるようになりました。私が学生だったころ、女性学という学問はこの世にありませんでした。なかったから、作りました。女性学は大学の外で生まれて、大学の中に参入しました。4半世紀前、私が東京大学に赴任したとき、私は文学部で3人目の女性教員でした。そして女性学を教壇で教える立場に立ちました。女性学を始めてみたら、世の中は解かれていない謎だらけでした。どうして男は仕事で女は家事、って決まっているの?主婦ってなあに、何する人?ナプキンやタンポンがなかった時代には、月経用品は何を使っていたの?日本の歴史に同性愛者はいたの?...誰も調べたことがなかったから、先行研究というものがありません。ですから何をやってもその分野のパイオニア、第1人者になれたのです。今日東京大学では、主婦の研究でも、少女マンガの研究でもセクシュアリティの研究でも学位がとれますが、それは私たちが新しい分野に取り組んで、闘ってきたからです。そして私を突き動かしてきたのは、あくことなき好奇心と、社会の不公正に対する怒りでした。

学問にもベンチャーがあります。衰退していく学問に対して、あたらしく勃興していく学問があります。女性学はベンチャーでした。女性学にかぎらず、環境学、情報学、障害学などさまざまな新しい分野が生まれました。時代の変化がそれを求めたからです。

変化と多様性に拓かれた大学

言っておきますが、東京大学は変化と多様性に拓かれた大学です。わたしのような者を採用し、この場に立たせたことがその証です。東大には、国立大学初の在日韓国人教授、姜尚中さんもいましたし、国立大学初の高卒の教授、安藤忠雄さんもいました。また盲ろうあ三重の障害者である教授、福島智さんもいらっしゃいます。

あなたたちは選抜されてここに来ました。東大生ひとりあたりにかかる国費負担は年間500万円と言われています。これから4年間すばらしい教育学習環境があなたたちを待っています。そのすばらしさは、ここで教えた経験のある私が請け合います。

あなたたちはがんばれば報われる、と思ってここまで来たはずです。ですが、冒頭で不正入試に触れたとおり、がんばってもそれが公正に報われない社会があなたたちを待っています。そしてがんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったこと忘れないようにしてください。あなたたちが今日「がんばったら報われる」と思えるのは、これまであなたたちの周囲の環境が、あなたたちを励まし、背を押し、手を持ってひきあげ、やりとげたことを評価してほめてくれたからこそです。世の中には、がんばっても報われないひと、がんばろうにもがんばれないひと、がんばりすぎて心と体をこわしたひと...たちがいます。がんばる前から、「しょせんおまえなんか」「どうせわたしなんて」とがんばる意欲をくじかれるひとたちもいます。

あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれないひとびとを貶めるためにではなく、そういうひとびとを助けるために使ってください。そして強がらず、自分の弱さを認め、支え合って生きてください。女性学を生んだのはフェミニズムという女性運動ですが、フェミニズムはけっして女も男のようにふるまいたいとか、弱者が強者になりたいという思想ではありません。フェミニズムは弱者が弱者のままで尊重されることを求める思想です。

東京大学で学ぶ価値

あなた方を待ち受けているのは、これまでのセオリーが当てはまらない、予測不可能な未知の世界です。これまであなた方は正解のある知を求めてきました。これからあなた方を待っているのは、正解のない問いに満ちた世界です。学内に多様性がなぜ必要かと言えば、新しい価値とはシステムとシステムのあいだ、異文化が摩擦するところに生まれるからです。学内にとどまる必要はありません。東大には海外留学や国際交流、国内の地域課題の解決に関わる活動をサポートする仕組みもあります。未知を求めて、よその世界にも飛び出してください。異文化を怖れる必要はありません。人間が生きているところでなら、どこでも生きていけます。あなた方には、東大ブランドがまったく通用しない世界でも、どんな環境でも、どんな世界でも、たとえ難民になってでも、生きていける知を身につけてもらいたい。大学で学ぶ価値とは、すでにある知を身につけることではなく、これまで誰も見たことのない知を生み出すための知を身に付けることだと、わたしは確信しています。知を生み出す知を、メタ知識といいます。そのメタ知識を学生に身につけてもらうことこそが、大学の使命です。ようこそ、東京大学へ。
平成31年4月12日

認定NPO法人 ウィメンズ アクション ネットワーク理事長
上野 千鶴子

会場が大荒れ?

会場が荒れる訳がない。優等生の集まった東大の入学式…静かなどよめきが広がったというところかな。

 

実際、上野氏の祝辞を聞いた人たちはどう感じたのだろうかと、娘と一緒に入学式に出席した父親に感想を聞いたマスコミがある。

 

「祝辞が進むにつれ、会場は静けさを増したように感じました。自分の子どものその晴れ姿を目に収めようとウキウキと参加した私のような親たちの中に、こんな話を聞くことになると予想した人はいなかったと思います。中高一貫の私立女子校で育った娘に祝辞の感想を聞いたのですが、あまりピンと来ていない様子でした。東大女子が入れないサークルがあることもあまり気にしてない様子でしたが、これからそんな場面に数多く出会うでしょう。その時初めて、今日の上野さんの祝辞を噛みしめることになるのかもしれません。今日、上野さんの言葉を娘に聞かせることができたことは、得難い幸運でした」

 

上野氏の祝辞の内容が明らかになると、Twitter上は賛否が溢れ、一時「#東大入学式2019」がトレンド入りした位だ。

反論したのは、やはり男性が目立った感じ。

「上野さん、少なくとも入学式で言うこと?そんなに伝えたいなら自分で講演会主催しろよって感じだ」 #東大入学式2019

上野さん、典型的なちょっとアレなフェミニストだな。東大に女子がもっと入るべきなのは事実だけど、東大男子をdisるのは御門違いなんじゃねーの。
#東大入学式2019

— えんがわ (@dexmoment) April 12, 2019

一方で、上野さんに祝辞を依頼した大学側の意図についてのTwitterも多かった。

 

#東大入学式2019「まぁ、一応『東京大学の入学式の祝辞』なので、教授自身だけじゃなく色々な人が関わりそれなりに色々練られているとは思われるので、そこに東京大学の問題意識を見出すという聴き方はできる。」

毛嫌いする人が多いのはなぜかな?日頃から聞き飽きていることを敢えて東大の入学式という公の場で発表した事への反発なのかな?

また、反対にこのスピーチが聞けてよかった、というTwitterも多くあった。

 

「上野千鶴子が来賓の年でよかったなまじで」

 

東京大学本部広報課に上野さんに祝辞を依頼した背景を問い合わせたが、「来賓の選定理由その他、お答えできません」との回答だったとの旨。

 

2000年に東大を卒業したある女性は、この祝辞を読んで涙が流れたという。

「私が感じたのは、まだこんなことを言わなくてはいけないのか、20年前と同じだという落胆みたいなものと、入学式でこういうメッセージが伝えられる時代が来たんだ、という感動。そして、これから東大女子がみんな経験していくであろういろいろな苦しいこと、そこに思いを馳せて思わず涙が出ました。大学時代だけでなく、社会に出るともっと厳しくなるからです。大学時代はそうは言っても守られていたけれど、社会人になると東大で女子というのは叩かれる対象にもなるので、そういう意味での苦しいこと、を思い出しました」

 

なぜ東大女子が2割を超えないのか

上野氏は冒頭で2018年に起きた東京医科大学の不正入試問題に触れ、文部科学省の担当者のものとして「男子優位の学部、学科は医学部以外に見当たらず、理工系も文系も女子が優位な場合が多い」というコメントを紹介。

 

一方で、東大の女子の比率は長期にわたって「2割を超えない」という壁に言及。それどころか2019年度4月入学に限っては18.1%と前年度を下回ったと述べた。

 

あなたは自覚しているか

 上野氏は東大生たちの女性をはじめとしたマイノリティーに対する優しさの欠如を、あえて祝辞で指摘した。

 

東京大学の『学生生活実態調査』という資料に、家庭の家計支持者(多くは父親)の年収分布が出ている。東大生の親の62.7%が年収950万円以上だ。一般群では12.3%しかいないことを考えると、極めて高い比率と言える。職業をみると東大生の父親の43.4%は管理職で、こちらも一般群(3.6%)とは大きな隔たりがある(ニューズウィーク日本版2018年9月5日より)。

 

上野氏は、東大生たちがいかに“恵まれた”環境で育ってきたのか、そのことに触れ、そのことに自覚的であって欲しいと述べている。

ネット上で賛否両論が展開されただけだ。上野氏を巡っては、ネット上を含め様々な意見があり、特に、ツイッター上では上野氏の祝辞に対する批判(上野氏自体に対する批判も)の声が続出していた。

 

さもありなんと思う。入学式の祝辞に相応しい言葉ではなかったと思う。しかし、分かっていて敢えて、上野氏を来賓に招いた五神真総長はじめ理事の方々の度量に敬意を表したい。

五神真総長

入学式で言わざるを得ない程、日本の社会は他人に対して不寛容であると常々感じていたから。男女差別に限らない。あらゆる面で日本は、世界の先進国と比べて劣っている点が多過ぎる。子供の貧困率の高さは先進国の中で群を抜いている。

 

東大の危機感の現われであろうか。これから、社会に出て上に立って行くはずの東大生が自覚出来ないと、この国は本当にダメになってしまう気がする。実質、移民なのに小手先の入管法の改正だけで絶対移民という言葉は使わず、当面の労働人口の不足を補おうとする。すべてを先送りにして、この日本は先に進んでいる。

財政赤字は、もはや天文学的数字に近い。どこの国も直面した事のない事態を迎えようとしている。超ハイパーインフレでも起こしてデノミでもやろうというのか!?一気にこれで問題解決を計る気か?街に浮浪者が溢れかえるのではないか。

 

すべて先送り・・・この国の将来の姿が見えない。変化と多様性に拓かれねばならないのは大学だけでなく、この日本という社会の隅々にまで及ばねばならない仕組みだ。まったく欠けている。今の日本は一度、沈んでしまうと這い上がれるのが容易でない社会になってしまった。すべての人にもっと拓かれたチャンスと意気込みさえあれば、這い上がれる社会の仕組みを早く構築しないと早晩三流国に堕してしまうだろう。自明の理だ。

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